わたしが今日観た話は、焼きそばパンの回だった


結構前から好きで観ていたドラマがあって、最近また新しいのが配信スタートした。「深夜食堂」というドラマだ。小林薫がマスターをやっているご飯屋さんの話だ。歌舞伎町の裏路地にあるお店という設定で、メニューは豚汁定食とビールとお酒しかない。あとはお客さんが要望したものを作って出すという仕組み。小林薫がかなり渋カッコよくて、常連の話がドラマになっている。いつもそこのメシ屋では決まったものしか頼まないお客さんや、毎週毎日のように来ている超常連なお客さんもいる。わたしが今日観た話は、焼きそばパンの回だった。そこのメシ屋は和食屋だから、パンは置いていない。だからパンが食べたければ、お客さんに自分でパンを買ってきてもらう。小谷さんという方が今回は主役で、キャットカフェやドッグカフェなど手広くやっている40代ぐらいの経営者だ。高校野球が大好きで、小谷さんも高校生の時野球をやっていたらしい。補欠だったけど。当時横川さんという同じ野球部の同級生がいて、横川さんはスタメンでバリバリ活躍していたらしい。だけど途中で怪我をしてしまって、甲子園に行けなかったそう。高校を卒業して大学でも野球を続けていたらしいけど、ある日野球ができなくなった横川さんが高知の実家に歩いて帰ると言ってきたので、小谷さんも面白そうだから一緒についていったらしい。結局小谷さんは途中でお腹を壊して東京に帰ってきたけれど、横川さんはちゃんと実家まで歩いて帰れたらしい。その時の思い出で、お金がなくて売店の隅っこに置いてあった焼きそばパンを2人で買って半分こして食べたらしくて、今でも焼きそばパンが無性に食べたくなるから、メシ屋に来ていつも焼きそばパンを頼むんだそう。ある日、甲子園に出場が決定した高校の野球部の監督を横川さんがやっていたことを雑誌で知って、小谷さんは大喜び。30年以上会っていないが、怪我をして野球ができなくなった横川さんが、プロになれなくても指導する側になることで、甲子園に行くことができたことが小谷さんはよほど嬉しかったらしい。だから小谷さんはよく飲み歩くようになり、酔っ払って色々なお店で大はしゃぎして人に迷惑をかけていた。メシ屋でも迷惑をかけていた。だからマスターである小林薫が、一度飲みすぎたらよくないと注意した。小谷さんはマスターに謝り、横川さんのことがそれほど嬉しかったと伝える。そして昔ちょこちょこ借りていたお金も横川さんに返せず音信不通になってしまったという相談をすると、マスターはそのお金を横川さんの学校に寄付するように勧める。甲子園に行くにもお金がかかるらしい。そして小谷さんは後日、学校に寄付をした。するとある日、小谷さんが寄付したことを知った横川さんが小谷さんに電話をかけてきて、30年ぶりに電話越しだけど会話ができた。小谷さんは横川さんと連絡が取れて喜んでいて、マスターこおかげだとお礼を伝えにきた。そしてラップに包んだたくさんの焼きそばパンを注文し、全て持ち帰り遠くに行ってくると言っていなくなってしまった。そしてその後しばらくして、小谷さんの経営していたキャットカフェがなくなって、来月からタピオカ屋さんになると常連客が話していた。そして急にメシ屋に知らない二人組が小谷さんがいないかと確認しにきた。常連がなんなんだあいつら、というと、これまた常連であるヤクザのりゅうちゃんが街金のやつらだと教えてくれた。どうやら小谷さんは経営がうまくいかなくなってしまって街金で100万ほど借金をし、どこかに行ってしまったらしい。常連客はみんな心配していた。それからまた少し経ったある日、横川さんがメシ屋を訪れてきた。マスターが横川さんだと気づき、小谷さんの話をしていたら、ここで小谷さんと待ち合わせしていると言う。すると、ヤクザのりゅうちゃんと小谷さんが一緒にメシ屋に入ってきた。どうやらりゅうちゃんが街金に話をつけてくれて、返済期間を延ばしてもらい、金利も下げてもらったらしい。仙台国分町キャバクラ派遣のアシストも下げてもらいたいと思っております。小谷さんは大量の焼きそばパンを持って横川さんに会いに行き、自殺することを伝えたら横川さんが激怒し必死に止め、小谷さんは思いとどまった。そして真面目に働いてお金を返すことに決め、りゅうちゃんと横川さんのおかげで命拾いした。だけど小谷さんはヘラヘラしていて、りゅうちゃんは横川さんに、甲子園を目指すなら付き合う友達は考えたほうがいい、と言い、横川さんは、僕が必ず小谷にはお金を返させますので!と必死に言った。そのままりゅうちゃんは店を出て行った。もし小谷さんが借金を返せなかったら、りゅうちゃんがその分の落とし前をつけなければいけなくなるらしい。その事を知らずに小谷さんはヘラヘラしていた。横川さんは語り出した。昔高知の実家まで一緒に歩いた時、焼きそばパンを一つ買って、半分にしたやきそばパンをを小谷さん横川さんに渡した。だけど焼きそばパンを小谷さんは自分の分は一口分しか取らず、物欲しそうな顔をしながらとても大きな焼きそばパンをくれた。野球ができなくなって落ち込んでいたけど、そんな小谷の顔をみたら急に心が軽くなって、先のことを少し考えてみようと思えた。選手じゃなくても野球はできるよなと思った。お前のおかげで甲子園に行けた。お前ならきっと立ち直れる。今度は俺が応援する。と言った。小谷さんは当時、野球ができなくなって塞ぎこんでいた横川さんのことをとても心配していたそうだ。そして、応援すると言ってもらえた小谷さんは泣きながらマスターが作ってくれた焼きそばパンを頬張った。いい話だった。